東京・市ヶ谷にある、カツ丼小僧の高級マンションに着くと、
二人は、エレベーターで、6階まであがった。
その時、カツ丼小僧は、初めて彼女が自分より背丈の高い大柄の女である事に気付いて、
内心、ゾクゾクするような感慨を覚えていた。
彼は、自分より極度に背の高い美女や、逆に極度に背の低い美女を見ると、
異常なまでの性的興奮を覚える男なのだ。
大柄の女には、その大きくてデラックスな、まるで女豹のような肢体に、強く思いっきり、
抱きしめられてみたい、抱きつぶされたい、という、春川ナミオのイラストのような想いに浸り、
また、逆に、そのような大柄の美女を、心ゆくまで、いたぶって苛めてやりたいという思いもあるようだ。
また、極度に体の小さい美女に対しては、これはもう、ただ、ただ、苛めて、自分の所有物にして、
ムチで、数百回も引っ叩き、ゴミ女のような役立たずの奴隷にして、
檻の中に、永遠に閉じ込めておきたい、という感情が湧き起こるだけである。
607号室が彼の部屋だった。彼は同じマンション内に、他にも幾つかの部屋を持っていて、
漫画やイラストを描く部屋とか、パソコンを弄る部屋とか、本を置いてある部屋とか、
色々、割り当てていた。
「素晴らしいわ、 素敵な部屋ね。 私、カツ丼の匂いがするのかと思っちゃった………。」
「あ、悪いけど、君の名前を教えてくれないか? あと、失礼だけど、年齢も………。」
「私?………友梨、 年齢は………、言わなくちゃダメ?」
「うん、俺、実は、とても神経質なタチでね、相手の年齢を知っていないと、落ち着かないんだ。
悪いんだけど、嘘をつかないで、本当の事を教えてくれ。
別に、若いとか、年取ってるとか、そんな事じゃなくて、正確な所を知っていないと、
落ち着かないタチなんだ。」
「えへっ、 私の体の反対よ………。」
「えっ?」
「私の体って、大きいでしょ、 だからその反対、………ミニ……、つまり、32よ………。」
「わ、悪いけど、ダジャレもやめてくれ………、俺、ダジャレを聞くと虫唾が走るんだ………。
ごめん、注文ばかり出しちゃって。 でも、本当にダメなんだ。」
カツ丼小僧は、友梨がてっきり、気分を悪くすると思ったが、違ったようだ。
「は~~~い、 私、カツ丼さんの言う事なら、なんでも聞きますわ。
なんでも、おっしゃってくださいな、 だって、私、カツ丼小僧さんのファンですから………。」