カツ丼小僧氏の優雅な生活。 18

カツ丼小僧とスリラー隊が、ホテル責任者の家の前に到着すると、

カツ丼小僧は長年の心のうさを晴らすかのように、玄関の前で大声で叫んだ。

 

「よ~~~~~~い、……俺の事を警察に通報した、ホテルの責任者いるか~~~~~~っ?」

 

すると、家の中から、大慌てで、中肉中背の50代ぐらいのちょび髭をはやした男が飛び出て来た。

 

「な、な、な、な、なんだ? お、お前、い、今、なんと言った?」

 

「いよぅ、おじさん、久しぶりじゃねえかよ、俺だよ、俺、……憶えてる?

 あんたにさ~~~、10年ほど前、警察に通報されちゃってさぁ~~~、

 もう、あれから、俺の人生、メチャクチャだよ。 めっきり、落ちぶれちゃったよ。」

 

「俺が? いつ? 警察に通報したって? だ、第一、俺、お前の事なんか、な、何も知らないぜ。」

 

男は、首を引っ込めて、目を魚のように丸くして、ブルブルと怯えたように首を横に振った。

 

「そうやって、嘘をつくとこ、昔とちっとも変らないね。」

 

「お、おい、………、い、いいから、ちょ、ちょっと、中へ入れ。」

 

「それでは、皆さん、ちょっと、この場で待っていてください。

 今から、ホテル側に対する長年の恨みを晴らしに行って来ますので………。」

 

カツ丼小僧は、行進隊に、そう告げると、ホテル責任者の家の玄関の中へと入っていった。

 

中に入ると、責任者が血相変えて、カツ丼小僧に近寄ってきた。

 

「お、おい、俺がなんだって? いつ警察に通報したって?

 しょ、証拠はあるのかよ、証拠は? え?」

 

「頼みますよ、おじさん。 もう素直にゲロしてくださいよ。 

 時間の問題ですよ、 正直に白状してくださいよ。」

 

責任者は、カツ丼小僧の顔の前に、一本の指を突きたてて、言った。

 

「いいから、………証拠はあるのかと、聞いているんだ、………証拠………しょ、う、こ、………。」

 

「証拠? ええ、ありますよ………。とっておきのやつがね………。」

 

責任者は、一瞬、ヒヤリとした表情を見せたが、すぐに冷静さを装い、

「ふ~~~ん、 じゃぁ、見せてみな?」と一世一代の大見得を切ってみせた。

 

 

 

 

 

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