カツ丼小僧氏の優雅な生活。 9

「ふふふ………、どうだい? ビックリしただろう? 

 でも、まさか、大の大人が小便漏らすだなんてな、ちょっと予想外だったな………。」

 

リビングにもどって、いくらかは正気を取り戻したが、まだ、普通ではない二人に対し、

カツ丼小僧は、さらに追い打ちをかけるような、とんでもない発言をした。

 

「よく、わからないんだけど、あれは恐らく、俺のファンの誰かが、

 警察官を殺して、あそこに置いて行ったんだと思うよ。

 俺が、いつも警察を非難するような事ばかり、マスコミの前で口にするから、

 ファンが同情してくれたんだと思うんだ。 ファンっていうのは、本当にありがたいね。」

 

「あ、…あ、…あんた、……、こ、この事、警察に通報したのかね………?」

 

「警察?…… 何故? ……あんたがた俺が警察嫌いなの、よく知っているだろう?

 なんで俺が、警察署なんかにノコノコ出掛けて行かなきゃならないの?

 そんな事、ある訳ないでしょう、当然でしょう? 

 第一、そんな事したら、俺のために警官殺して、ここに運んで来てくれた、

 俺のファンに対して、失礼でしょう? 当然の理屈でしょう。」

 

「く……、狂っている、 か、完全に狂っている………。」

 

「狂っている、狂っているって、アンタねぇ………、人間皆、どこかしら狂っているんですよ、

 この世に、正常でまともな人間なんてものは、一人だって、いやしないんだ。

 じゃあ、あんたはどうなんです? 

 他人に胸を張って、正々堂々と自分はまともな人間です、正常な人間ですって

 言う事が出来るのかい? もし言えたとしたら、そっちの方が狂っているのさ。」

 

「 そ、そりゃぁ、ワシだって、警察に車で轢き殺されそうになった経験はある、

 で、でも、それは、もう過去の事じゃ、 済んだことじゃないか、

 人間は、お互いに、許しあう心を持たないと………。」

 

「バカ者 ! ! あんた、一体、どこまでお人好しなんだ ! !

   自分の命が奪われそうになったんだぞ ! ! それを、許すだと………?!!!

 あんたの方こそ、狂っている、キ○ガイだ ! !

 

 警察の横暴は、もう歯止めが利かない ! ! それに他人に素直に謝るという謙虚で誠実な気持ちがない。

   俺が、これ程マスコミを通じて、ここまで直に謝罪に来いと言っているのに、一向にそんな気配はない。

 皆が狂っているんだ ! ! どいつもこいつも狂っている ! ! まともな人間は俺だけだ ! !」

 

 

 彼は仁王立ちになったまま、テーブルの前で、大声を上げて泣き叫んだ。

 

 

 

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