「ふふふ………、どうだい? ビックリしただろう?
でも、まさか、大の大人が小便漏らすだなんてな、ちょっと予想外だったな………。」
リビングにもどって、いくらかは正気を取り戻したが、まだ、普通ではない二人に対し、
カツ丼小僧は、さらに追い打ちをかけるような、とんでもない発言をした。
「よく、わからないんだけど、あれは恐らく、俺のファンの誰かが、
警察官を殺して、あそこに置いて行ったんだと思うよ。
俺が、いつも警察を非難するような事ばかり、マスコミの前で口にするから、
ファンが同情してくれたんだと思うんだ。 ファンっていうのは、本当にありがたいね。」
「あ、…あ、…あんた、……、こ、この事、警察に通報したのかね………?」
「警察?…… 何故? ……あんたがた俺が警察嫌いなの、よく知っているだろう?
なんで俺が、警察署なんかにノコノコ出掛けて行かなきゃならないの?
そんな事、ある訳ないでしょう、当然でしょう?
第一、そんな事したら、俺のために警官殺して、ここに運んで来てくれた、
俺のファンに対して、失礼でしょう? 当然の理屈でしょう。」
「く……、狂っている、 か、完全に狂っている………。」
「狂っている、狂っているって、アンタねぇ………、人間皆、どこかしら狂っているんですよ、
この世に、正常でまともな人間なんてものは、一人だって、いやしないんだ。
じゃあ、あんたはどうなんです?
他人に胸を張って、正々堂々と自分はまともな人間です、正常な人間ですって
言う事が出来るのかい? もし言えたとしたら、そっちの方が狂っているのさ。」
「 そ、そりゃぁ、ワシだって、警察に車で轢き殺されそうになった経験はある、
で、でも、それは、もう過去の事じゃ、 済んだことじゃないか、
人間は、お互いに、許しあう心を持たないと………。」
「バカ者 ! ! あんた、一体、どこまでお人好しなんだ ! !
自分の命が奪われそうになったんだぞ ! ! それを、許すだと………?!!!
あんたの方こそ、狂っている、キ○ガイだ ! !
警察の横暴は、もう歯止めが利かない ! ! それに他人に素直に謝るという謙虚で誠実な気持ちがない。
俺が、これ程マスコミを通じて、ここまで直に謝罪に来いと言っているのに、一向にそんな気配はない。
皆が狂っているんだ ! ! どいつもこいつも狂っている ! ! まともな人間は俺だけだ ! !」
彼は仁王立ちになったまま、テーブルの前で、大声を上げて泣き叫んだ。