「でも、カツ丼小僧さん、これだけの立派な豪邸や、金ピカで、デラックスな装飾品など、
実際の所、どうやって、手に入れたんです? 親の遺産もなく、働いてもいないんでは、
普通、常識的に考えれば、絶対にありえない事ですよ?」
「それが俺にもわからない、いつの間にかこれだけの物が、自分の身の周りに集まっていたんだ。」
「いつの間にか………? これだけの物が………? ここに………?」
「いや、この豪邸なんて、俺の持っている資産の、ごく一部に過ぎないさ。
世界各国に、俺の自宅や、別荘なんて、幾らでもあるんだ。
つまり、前から、言っているんだけど、全ては俺が頭の中で考えた事が、
このように現象として、目の前に現れているに過ぎないんだ。
ただね、若い頃から、このような豪勢な暮らしをしていた訳ではないんだ、
ホント、つい最近だよ、今49なんだけど、やっとの事で、
空想世界が現実化し始めてきているという訳なんだ………。」
「あのう、………最初の質問に戻りますが、実際、このような豪華な品物やお金などは、
どのような形で、あなたの元に、入って来たんですか?
具体的に、お答え願えたら………。」
カツ丼氏は、傍にあった赤ワインのボトルを手に取ると、博士やインタビュアーのグラスに
トクトクと注いだ後、自分も一口、美味そうに飲み干して、気持ちよさげに話し始めた………。
「うん、まぁ、殆どが、自分のファンや、熱烈な支持者のプレゼント、贈り物だ。
この世に、自分の事を熱烈に愛してくれている支持者がたくさんいて、
勝手に、色々な物を持って来ては、ここに置いて行くんだ。」
二人の聞き手は、暫くの間、あっけにとられていたが、ハッと我に返って、再度、質問をした。
「でも、こんな高価な物を、泰然と置いて行く方が、そんなにおられるんですか?
ちょっと、にわかには信じる事は出来ませんが………。」
「そりゃぁ、いるさ、俺のファンの中には、世界屈指の大金持ちが沢山いるんだ。
例えば、その人間が、数百億ぐらいの資産を持っていたら、その内の十分の一くらいの
お金を、自分に譲ってくれたって、何の不思議もないだろう。 俺の事を心底愛してくれているのなら。
金は天下の回り物だよ、ある所には幾らでもあるんだ。でもお金のない人からは、
絶対に取れないよ………。そういうやり方は絶対にしないし、出来よう訳もない。」
「いや、なんか、途方もなく、スケールの大きな話ですね、
でも、カツ丼さん、お金を譲ってくれた方には、その見返りとして、
何か、カツ丼さん独特の、ご褒美だとか、優遇が与えられるんでしょうね?」
「いや、何も………。 そんな見返りなど一切要求してこないどころか、
こっそり、人知れぬように寄付してくれるだけさ。俺を、あまり煩わしちゃ悪いと思っているんだろう。
とにかく、俺のファンというのは、自己犠牲の精神に富んだ謙虚な人達ばかりなんで、
俺に何かを要求するなんて事は、まったくないし、俺も、体力や時間が、そうある訳では
ないんで、ちょっと、そういうのは難しんだ。」
「もちろん、そういう方達に、感謝はしているんでしょうね?」
「そりゃぁ、そうさ、 自分の事を愛してくれているんだからね。当然ですよ。」