カツ丼小僧氏の優雅な生活。 4

「でも、カツ丼小僧さん、これだけの立派な豪邸や、金ピカで、デラックスな装飾品など、

 実際の所、どうやって、手に入れたんです? 親の遺産もなく、働いてもいないんでは、

 普通、常識的に考えれば、絶対にありえない事ですよ?」

 

「それが俺にもわからない、いつの間にかこれだけの物が、自分の身の周りに集まっていたんだ。」

 

「いつの間にか………? これだけの物が………? ここに………?」

 

「いや、この豪邸なんて、俺の持っている資産の、ごく一部に過ぎないさ。

 世界各国に、俺の自宅や、別荘なんて、幾らでもあるんだ。

 つまり、前から、言っているんだけど、全ては俺が頭の中で考えた事が、

 このように現象として、目の前に現れているに過ぎないんだ。

 

 ただね、若い頃から、このような豪勢な暮らしをしていた訳ではないんだ、

 ホント、つい最近だよ、今49なんだけど、やっとの事で、

 空想世界が現実化し始めてきているという訳なんだ………。」

 

「あのう、………最初の質問に戻りますが、実際、このような豪華な品物やお金などは、

 どのような形で、あなたの元に、入って来たんですか?

 具体的に、お答え願えたら………。」

 

カツ丼氏は、傍にあった赤ワインのボトルを手に取ると、博士やインタビュアーのグラスに

トクトクと注いだ後、自分も一口、美味そうに飲み干して、気持ちよさげに話し始めた………。

 

「うん、まぁ、殆どが、自分のファンや、熱烈な支持者のプレゼント、贈り物だ。

 この世に、自分の事を熱烈に愛してくれている支持者がたくさんいて、

 勝手に、色々な物を持って来ては、ここに置いて行くんだ。」

 

二人の聞き手は、暫くの間、あっけにとられていたが、ハッと我に返って、再度、質問をした。

 

「でも、こんな高価な物を、泰然と置いて行く方が、そんなにおられるんですか?

 ちょっと、にわかには信じる事は出来ませんが………。」

 

「そりゃぁ、いるさ、俺のファンの中には、世界屈指の大金持ちが沢山いるんだ。

 例えば、その人間が、数百億ぐらいの資産を持っていたら、その内の十分の一くらいの

 お金を、自分に譲ってくれたって、何の不思議もないだろう。 俺の事を心底愛してくれているのなら。

 

 金は天下の回り物だよ、ある所には幾らでもあるんだ。でもお金のない人からは、

 絶対に取れないよ………。そういうやり方は絶対にしないし、出来よう訳もない。」

 

「いや、なんか、途方もなく、スケールの大きな話ですね、

 でも、カツ丼さん、お金を譲ってくれた方には、その見返りとして、

 何か、カツ丼さん独特の、ご褒美だとか、優遇が与えられるんでしょうね?」

 

「いや、何も………。 そんな見返りなど一切要求してこないどころか、

 こっそり、人知れぬように寄付してくれるだけさ。俺を、あまり煩わしちゃ悪いと思っているんだろう。

 とにかく、俺のファンというのは、自己犠牲の精神に富んだ謙虚な人達ばかりなんで、

 俺に何かを要求するなんて事は、まったくないし、俺も、体力や時間が、そうある訳では

 ないんで、ちょっと、そういうのは難しんだ。」

 

「もちろん、そういう方達に、感謝はしているんでしょうね?」

 

「そりゃぁ、そうさ、 自分の事を愛してくれているんだからね。当然ですよ。」

 

 

 

 

 

 

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