「博士~~、昨日は、いい所で話がブツ切りになりましたね~。」
「そうじゃのぉ~、まぁ、今日は、その最後の締めくくりじゃ、心して聞いてくれ。
シリのセリ市が、ついに、「八百万」という所で、佳境を向えようとした、まさにその時、………
いきなりタキシードの男が、その娘の肛門に、チューリップやシクラメンなど、
多くの種類の花の束を差して、 パアンパアンと思いっきり尻たぶをぶっ叩くや否や、
「これでどうかね ! !」、と叫んだのじゃ。
ワシは、その時、自分の目を疑ったぐらいじゃ ! !
まんぐり返しで、肛門に花束をブッ差された花屋の娘の体が、まるで、バーーーッと、
後光が射したかのように、オーロラのように、光輝いたんじゃ………。」
「どうして、オーロラなんですか? 北欧でもないのに……… どうしてですか?」
「ワ、ワシにも、ようわからん。 まるで荘厳なるCGの映像のようじゃった。
ワシには、その娘の体が、何か、透き通ったガラスの24色の花瓶のようにも見えたんじゃ、………。
そして、肛門に差されていた数々の花々の、なんと美しかったことか………。
ワシは、その時、その光景の神々しさに思わず身震いし、両腕を思いっきり上げて、
大声で、「ザ・こうもーーーん ! !」と仰々しく雄たけびを上げてしまったのじゃ。」
「どうして、肛門なんですか? 花の美しさではないんですか? どうしてですか?」
「い、いや、なんというか………、まぁ、菊花とも言うではないか………。
思わず、そう叫んでしまったんじゃ………。
それでな、暫くは、その美しさに見とれて、茫然自失としていたんじゃが、
購買希望者の「三千万 ! !」、と言う声に、ハッと我に返ったんじゃ………。
その後、矢継ぎ早に、「五千万」、「八千万」、と値が上がり、遂には「一億」とまでの
購買希望者が現れたんじゃ………。
ワシは、もういたたまれん気持ちになってな………、思わず………、
「いちおく、いっせんまぁぁぁぁぁん、プラス、ト、ヨ、タ、の、ハイブリッドカーーーー ! !」
と、大声で叫んでしまったのじゃ………。
「どうして、トヨタなんですか? 日産では、いけないんですか? どうしてですか?」
「字数じゃよ、字数、………ニッサンでは、一文字、多くて話づらいだろう………。 あと語感。
まぁ、結局そういう訳で、ワシが、その娘と花束を落札したという訳じゃ………。」
「えっ? 本当ですか? 博士、そんなにお金持ちだったんですか?」
「いや、あの美しさは、金には代えられんよ………。
去年の暮、やっと借金を全額返済し終えた所じゃ。」
「それで、女の子の方は、どうなったんです? 今でも何かしら、付き合いはあるんですか?」
「いや、それが、今のウチの女房じゃよ………。」
「えっ………?」
「いや、本当じゃ………、現在まで、およそ20年間、ワシと仲睦まじく暮らしておる………。」
「どうしてですか? どうして、こんなに羨ましい話があるんですか? どうしてですか?」