「で、その後の彼女のとった行動は? 教えてください。」
「うむ、今度、生け花の大きなコンクールがあって、自分の育てた花を、
そのコンクールにも出品すると言うのじゃ………。
そして、是非、そのコンクールの会場にも、ワシに見に来てほしいと言うんじゃ………。
一月程して、彼女が渡してくれた地図を頼りに、その会場に行って見ると、
確か、東京の千駄ヶ谷の辺りじゃと思ったんじゃが、大きなビルが建っておった。
当然、その子が、ビルの入り口に立って、待ってくれていて案内してくれると思ったんじゃが、
彼女は、そこにいなかったんじゃ………。
それで、ビルの入り口前に出されてあった看板の案内通りに、
エレベーターに乗って、……確か、最上階じゃと思ったが、…… …
そこにつくと、なんと、その階全てが大伽藍のような、大きな一室になっていて、
その中に大勢の男達が、ひしめき合うようにして、大声を張り上げながら、
なにか楽しい事に熱中して興じている風なようじゃった。
会場の前にある、檀の上を見ると、大きな白くて丸い物が置いてあって、
その側に立っている、黒いタキシードの男が、その白くて丸い物を、平手でパチンパチンと
叩きながら、大声で「もう一声、もう一声、ありませんか?」 と、会場の観客達を、
急き立てているのじゃ。
しかし、………! ! ワシは見てしまったんじゃ………! ! その大きくて、白い物は、
なんと………、花屋の娘の尻じゃったんじゃ………。
ワシはもう一瞬、息が詰まりそうになって、その場に倒れ込みそうになったが、
なんとか、気を取り戻して、もう一度つぶさに、その場を観察してみると、
その壇上で、あの娘が股をおっぴろげて、まんぐり返しのブザマな格好で、
真っ白な尻を赤く腫れ上がるまで、何度も何度も、タキシードの男に強く叩かれていたんじゃ。
そして、その男の掛け声につられて、会場の男達も興奮のるつぼに巻き込まれ、
「二百万 ! !」「二百五十万 ! !」と、値段と声が大きくなっていくのがわかったんじゃ………。
そう、そうなんじゃ、そこは、セリ市の会場だったんじゃ、………。
女のシリが、セリに掛けられていたんじゃ ! ! ああ、びっくらこいた、屁ぇ、こいた………。」
「博士、少し長くなりましたんで、ここでまた、一旦、区切ります。」
「うむ、良いだろう………、ワシも、ちょびっとばかし、疲れてしもうた………。
すまんが、水を一杯くれないか………。
ふーーーーっ、 うまい………。
ところで君は、今回は一回も、「どうしてですか?」と質問しなかったね? どうしてですか?」
「博士が興奮して、息次ぐ暇もなく、まくしたてるから、
質問を差し挟む余地がなかったんですよ………。」