「笑い」について、一考。 6

昔、よく、「ペーソスのある笑い」といって、

下町人情的な、人の涙を誘う笑いというのがありました。

 

まぁ、僕の好きな、渥美清さん演じる、車寅次郎のような、

お人好しで憎めない男の浪花節的、人情泣き笑い奮戦記、といった所でしょうか。(笑)

 

こういう場合、何と言いますか、主人公の性格という物が、何より重要でして、

大多数の人に好かれるというのが、絶対的な条件だと思います。

もっと言えば、清貧、朴訥、バカ正直、なども加えられます。(笑)

 

前回述べた、人の欠点やぎこちなさを笑う、という物に、幾らかの類似性も見られますが、

やはり、それとこれとには、一線を画すべき物があると思います。

 

このような場合は、作り手の笑いの意図が、決して悪意のあるものではなく、

是、即ち、愛に満ちた物であり、慈悲の目で、その対象(となる人物)を見ているからです。

 

そういった、作り手のキャラクターに対する「愛」という物は、当然、受け手の方にも、

伝わりますので、その主人公が、どんなにダメで、ドジな人間でも、決して、バカにしたり、

蔑んだりしたような目で見る事もありません。 つまり「黒い笑い」とはならない訳です。

 

昔、映画館で寅さん映画を観終わって、客席から立ち上がって帰る時の、年配のご婦人方の

表情を、つぶさに観察していたのですが、やはり皆さん、泣き笑いというか、

うっすら目に涙を滲ませながら、笑っていたような顔をしていましたね。

映画館の中で大いに笑って笑いつくして、出る時はその感慨で、うっすら涙という所ですか? (笑) 

 

僕の好きな、ペーソスギャグ漫画は、やはりなんといっても、子供の頃に読んだ、

つのだじろうさんの「泣くな ! 十円」と「その他くん」です。

 

今、ネットで検索したんですけどね、本当に懐かしいですね、

秋田書店(少年チャンピオン)発行の単行本、「泣くな ! 十円」と「その他くん」の 表紙絵。

(「その他くん」は、講談社・少年マガジン)

ほのぼのとした懐かしさで、もうそれだけで、涙が出てきます。

 

前にも書きましたが、つのださんは、オカルト漫画の人気に火がついて、そちらが忙しくなりすぎて、

「泣くな ! 十円」を途中で断念したそうです。だから、単行本では2巻までしかありません。

僕としては断然、「泣くな ! 十円」の方を続けてもらいたかったのですが………。

 

ちょっと、話が脇道に反れましたが、僕がなにも、このような事を書いたからといって、

こうした、下町人情的な笑いが良いとか、笑いのレベルが高いとか言っている訳ではありません。

ただ、僕は今、ここで、この世に存在する、多くの笑いの種類(ジャンル)を

例を挙げるなどして、説明しているだけです。

 

僕自身としては、ロアルド・ダールや、藤子不二雄さんのような、ブラック・ユーモア的な笑いが

好きですし、たぶん、自身の中には、その要素が一番多く存在していると思います。

 

多様な人格が、「カツ丼小僧」という一人の人間の中に詰め込まれている僕にとっては、

たとえ、ダジャレや、せせら笑い、嘲笑だって、一つの大きなテーマです。

どれが良いとか、悪いとかではなく、世の中には、実は、もっと色々な笑いという物があるのだから、

安易に、ダジャレや人の悪口で笑いを取る事はせずに、

もっと他の笑いを追求してみようじゃないか、という事なんです。

 

 

 

 

 

 

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