水木しげる先生、いよいよ、水木プロダクションを立ち上げ、
3人のアシスタントを抱えての新しき船出、という所にまで漕ぎつけました。
その中に、へぼなアシスタントの人が一人いて、(菅井さん)
その言動が、面白おかしく、周りの人達の笑いを誘っています。
いえね、実は僕も23歳の時(昭和62年)に、
某漫画家のアシスタントを5か月程やっていた事がありまして、
漫画家のアシスタントって、結構大変なんです。バカにしちゃぁいけませんよ。
だってねぇ、描いている物ときたら、背景とか、ベタ塗り、コマの枠線、あと、
消しゴムかけたり、それを羽根ぼうきで払ったり、とか、実に単調な仕事ばかりなんですよ。
こう言うと、そんな単調な仕事だったら、楽でいいじゃないか、
そんなんで給料なんか貰ってるなんてずるいぞ、とおっしゃる方もおられるかもしれませんが、
事は、そう単純ではございませんですよ、ハイ。(笑)
以前、本で読んだ事があるんですけど、男と女は、もともと脳の造りや仕組みが違うそうで、
例えば、女というのは、店のレジ係のような単調な仕事にも、その中に喜びや楽しみを見出し、
うまい事やっていけるそうなんですが、男っていうのは、脳が独創的にできていて、
単調な仕事には、ある種の窮屈さを感じて、すぐに飽きてしまい、長続きしないそうなんです。
毎日、毎日、ベタを塗ったり、ホワイトを入れたりするだけの仕事………。
それが、(特に僕にとっては)どれ程の苦痛である事か………。
実際、漫画の下書きやペン入れをしている先生の方が、どれ程楽かと思ってみたり………。(笑)
実は漫画家のアシスタントって、とても忍耐のいる仕事なんですよ。
でも、今頃、先生や、当時のアシスタントの人達、どうしているのかなぁ………。
(この前、ネットで調べてみて、一部の人達の消息は掴めました。)(笑)
僕が現在、「カツ丼小僧」っていう名前で、
エロイラスト描いてるって事を知ったら、喜んでくれるでしょうかね?
僕の場合ね、隣でアシスタントをしていた、先輩のアシスタントの人が、
凄く丁寧でいい背景を描くんですよ。
その頃、僕は実に(今よりも更に)大雑把でアバウトな絵を描いていたもんで、
その先輩アシスタントの絵が実に重宝に見えたもんです。
どうも、漫画っていうと、略画なもんですから、こんなもんでいいだろう、と、
あやふやでも構わないんじゃないかって思っちゃうんですけど、とんでもありません。
漫画家アシスタントには、もう、設計技師並みの、力量が必要なんです。本当ですよ、嘘じゃありません。
(まぁ漫画のジャンルや、その内容にもよりますがね……。)(笑)
ただ、当時僕は、自分の体が弱かったせいもあり、
徹夜などもあった、アシスタントの過酷な状況に耐えられず、5か月でやめてしまったんですがね。
まぁ、先生や当時のアシスタント仲間には、本当に無責任で申し訳ない事をしたと思いますが、
向こうからしてみれば、僕みたいな、ヘタクソな厄介者がいなくなって、
清々した、というのが本音だと思います。(笑)
水木しげるさんのアシスタントの菅井さん、ホント、当時の僕にそっくりで、
見ていて、とても親近感がもてますよ………。(笑)