今回も筒井康隆さんの作品の話です。
筒井作品の代表作に "七瀬三部作" というのがありまして、
「家族八景」「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」の三作品です。
え~、もしかしたら、人の本を読む順番まで、余計なお世話かもしれませんが、
やはり、この三部作は、上に記されてある通りの順で読むのが妥当だと思います。
人の心の中が読める、火田七瀬という若い女の超能力者が主人公で、その特殊な能力を
持つがゆえに、他の人間とはまったく違った人生を歩まざるを得なくなった話なのですが、
最初、1作目の「家族八景」を読みおえた時に、僕は何か、回りの風景が淀んで感じられ、
自分が、今、誰かに殺されるんじゃないかとか、人間不信の感覚に襲われました。
2作目の「七瀬ふたたび」では、スリリングで面白い、超能力者たちの戦闘合戦が、繰り広げられます。
(同じ超能力といっても、その能力もまちまちです。この作品には多種多様の能力を持った
エスパーが登場して、読む側を楽しませてくれます。)
そして、僕にとっては、3作目の「エディプスの恋人」が何よりも重要でして、
20代前半ぐらいまで、何度も何度も読み返しています。
でも、なにか大袈裟な話ではなく、この本には何か人生の真理が隠されているようにも思えるのです。
例えば、稲盛和夫さんの「生き方」という本にも出てきますが、「大きな宇宙意志」という言葉です。
自分の感情や頭の中で考えている事が、実は自分の物ではなく、神(宇宙意志)によるものだとしたら?
もしかしたら、毎日の自分の行動ですら………。
若い内から、こんなこと、本気で考えてるから、ノイローゼになるんですよ、僕は。(笑)