ボクの少年時代 12

長嶋さんの握手会の事と王さんの新記録ホームランの事と、

プロ野球選手の話を2つしましたが、実は、もう一つ、とっておきの話が………。

 

これは、僕がまだ、苛めに合う前の、恐らく、小学4~5年生ぐらいの時の事だと思います。

 

家の近くのスポーツセンター(野球場)の回りで、何人かの友達と遊んでいたところ、

たくさんのプロ野球選手が、球場の中からドヤドヤと出てきて、友達がみんな、サーーツと

一斉にそっちの方へ寄って行ったのです。

 

選手の一人一人に子供たちが群がって、サインペンと色紙片手に、選手にサインをねだっていました。

 

(子供の頃のことで、記憶が定かではありません。何故、他の子も僕もサインペンと色紙を

持っていたのか憶えていません。その場で無料で配っていたのかもしれませんし、

もしかしたら、最初から、サイン目的で、そこに行ったのかもしれません。)

 

僕は、最初ちょっと、ボケッとしていたので、みんながサインをもらっているのに、

なぜか一人、出遅れて、サインをもらうことが出来なかったので、凄く焦りました。

 

その時、ある選手が、自分の車の前で、大勢の子供たちに(自分の体が車と子供たちの集団に挟まれるような格好で)サインをねだられていました。

 

子供たちの、その選手に対する罵声が聞こえてきます。

 

「いいじゃねえかよ。サインぐらいしてくれよ!!]

「ケチケチ、ドケチ!!」

 

その選手は何か、忙しそうな感じで、サインをしたくないような感じで手を横に振っていました。

 

そして、僕は、その子供たちの集団の少し後ろの方にいたのですが、

何も言わないで、無言のまま、色紙とサインペンを持った右手を、グーーーッと、前の方に差し出しました。(実は、相当無理をして、苦しかったのですが……)

 

そうしたら、その選手は、スッと僕の差し出した色紙を取って、サラサラッとサインをしたかとおもうと、

自分の車に乗って、サーーーッと、どこかに行ってしまいました。

 

なんと、その選手は、僕一人にだけサインをしてくれたのです。

 

色紙を見ると、「弘田澄男」と、記してありました。

 

当時、人気のあったロッテの中堅外野手(センター)、弘田だったのです。

 

ただ、僕は、その時はパ・リーグの選手はあまり知らなかったので、弘田さんの事はまったく知りませんでしたが………。(笑)(当時、パリーグは、まったく人気がなかった。)

 

でも、周りの子供たちは、みんな知っていて、僕の所に寄ってきて、

 

「すげぇなあ、弘田のサインだってよ~~。いいなあ~~。いいなあ~~。」

と、羨ましがるのです。

 

他の子のもらったサインの選手は、あまり有名ではなかったようです。

 

 

 

何故、弘田選手は僕にだけサインをしてくれたのでしょうか?

 

もちろん、人の心の中なんて誰にもわかりようがありませんし、今となってはどうでもいいことです。

 

ただ、これは僕の推測ですが、弘田選手は、礼儀しらずな子供たちが内心、腹立たしかったんじゃないでしょうか?

 

いくら、相手が子供でも、疲れていて、しかも忙しい時に、「サインしろ!! サインしろ!!」

なんて、つっけんどんにせがまれたら、誰だっていい気持ちはしませんよ。

 

そんな中で、僕だけは何も言わずに、黙って、色紙を差し出したわけですから、

そんな僕に、好感を抱いてくれたんじゃないでしょうか?

 

この時ばかりは、僕の子供らしくない性格が、功を奏したのかもしれませんね。(笑)

 

 

 

 

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